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執筆者の写真ローフードマイスター|杉本佳江

ステーキは、もとは空気だった!?

小学生の頃は、学校で習うことが珍しくて、例えば「分数の計算の仕方」とか「太陽の光は地球に届くまでに約8分かかる」とか「空気がないと音は聞こえない」とか、ひどく感心したのを覚えています。


この年齢になると驚くことってあまりないですよね、、、


でも、これは本当に久しぶりにすっごく驚きました。


「ステーキは、もとは空気だった」って!?


これって常識だったんですか?? 


知らなかったのは私だけ??


「土と内臓」に書いてありました。





植物の食べ物は?

植物の食べ物は「土」ではありません。


もし土なら、山は木々に食べられて、なくなってしまいます。



 


1600年代、フランドルの科学者で医者であるファン・ヘルモントは、2kgの柳の苗木を90kgの乾燥した土に入れた鉢に植えて、水だけを与えながら木が育つに任せた。


5年後、柳の木は75kgに増えていたが、土の重さは60g減っただけだった。


木は水を取り込んで成長すると、フォン・ヘルモントは結論した。(本文p62より抜粋)



 


ということは、土の食べ物は「水」ということになります。



 



次にファン・ヘルモントは、28kgのオークの木炭を燃やし、灰の重さを計ると、27.5kgの気体(二酸化炭素)ができた。



 


ということは、木は二酸化炭素でできていた、ということになります。



(ベランダのバジルです。葉っぱがちょっと変わったバジルですよね)




光合成!!!

このヘルモントの2つの実験をまとめたのが、スイスの科学者、ド・ソシュールでした。


この2つの実験から思いつくのは、みんなの知っている光合成です。



初めて光合成を習った時、「光合成は植物と動物の、二酸化炭素と酸素のガスの交換」だと理解しました。


でも、それだけではなかったんですね、光合成!



植物は土から炭素(C)を吸い上げるのではなくて、


空気中の二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を使って


炭水化物(Cn(H2O)m)を作っていたのです!!!



ということは、野菜も果物も、もとは空気だったんです。



ヘルモントが木を燃やしたら、大量の二酸化炭素ができたのは当然ですね。


このことを知って、軽いめまいを感じました。




(こちらはローフードマイスター準一級で実習するズッキーニのパスタ。これももとは空気と水だったのね、、、)



例えば、オーガニック野菜のために畑に入れる腐葉土、これは植物に栄養を与えるためではなかったんです。


ずっと植物が腐葉土を食べてる(吸収している)とばかり思っていました。


実はこの発想は1800年代まで信じられていたことですが、私の理解は200年前のままでした。



タンパク質はどこから?

さて、問題のステーキ。


タンパク質(−CO−NH−)です。


(こちらは美栄橋のグリーンパークカフェさんのステーキ。バルサミコ酢を使ったソースでさっぱりと美味しくいただけました)



−CO−NH−)この化学式を見ると、感のいいかたはもうお気付きかも。


タンパク質は、炭素、酸素、水素、そして窒素でできています。


窒素って空気の78%を占めるじゃないですか。


タンパク質の材料である窒素は、無限に空気の中にあるんです!!!




(こちらはローフードマイスター準一級で実習するブリスボール。くるみとデーツベースです。お土産にお持ち帰りいただきます)



キーワードは「窒素固定」

空気中の窒素を、植物は利用できません。


これは固い鍵がかかっているようなもの、だそうです。


植物が利用できるのは、窒素化合物のアンモニアや硝酸塩など。


この空気中の鍵のかかった窒素を、植物が利用できるように分解するのが土中の菌なのです!!!


この空気中の窒素を、植物が利用できる形に菌が変換すること「窒素固定」といいます。



  1. ステーキは、牛のお肉で。

  2. 牛は地面に生えた草を食べて。

  3. その草に炭水化物とタンパク質が含まれていて。

  4. 草は、土の菌が窒素固定した窒素と空気中の二酸化炭素、そして雨からのを利用してタンパク質、炭水化物を作っている。


ということは、ステーキはもともと空気だった。


ですよね。


もう、この辺りでかなりクラクラしてきました。


このことがわかると、「ベジタリアンのタンパク質はどうやってとるんですか?」の質問はなくなりますね。




(こちらは普通のバジル。1株でこんなに旺盛に育ちました。摘んでも摘んでも、いつの間にか同じサイズに増えているのがすごいね)



もうひとつの「窒素固定」

私の出身、福井県は美味しいコシヒカリの産地です。


誰に教えられるでもなく、「雷がなるとお米がよく育つ」と聞いていました。


まるでそれは迷信のような、謎めいたもののようでしたが、なんとこの鍵のかかった空気中の窒素は、雷のような強い電力でもバラバラにされて地面に固定するのだそうです。


迷信ではなく科学的に、雷がなると窒素が分解され、雨に乗って地面に降り注ぎ、お米がふっくらよく育つんですね。


40年来の謎が、ふと解けました。



(こちらは季節外れの真夏のロメインレタスの双葉。サラダにして食べる予定💕)




人はCHON(チョン)でできている

中学生の頃だったと思います、父が「人はCHON(チョン)でできているの。炭素、水素、酸素、窒素、覚えておきなさい」と言ったのを記憶しています。


そのあと、父が軽く「参ったね〜」というようなことを言ったのも印象に残っていました。


父は陶芸家でしたが、北海道大学で地質学を専攻していました。


化石やミネラルに詳しく、焼き物の酸化還元も地質学の知識を応用していました。


その父が「参ったね〜」と言ったのは、人は空気の要素でできていることを知っていたからだったんですね。



(アンモナイトの化石のコレクションと父、息子、隠岐の島にて)



あの時は、父が「チョン」と言ったときには、なんの感動もなく、父の気持ちを共有できなかったんですが、あれから35年ほどもたってその意味がわかった気がします。


それで「参ったね〜」だったんですね。


ほんと、参りました。


父はもう空気になってしまったので、この気持ちを今、共有できないのがちょっと残念です。





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